請求書、受注一覧、制作途中の資料。仕事で使うファイルが突然開けなくなったとき、どこから戻せるか説明できますか。バックアップは保存の設定だけで終わらせず、復元できることまで確かめておきたい備えです。
IPAも、定期的な取得と復元確認を案内
IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版では、重要情報の定期的なバックアップに加え、保存したデータを戻せるか定期的に確認する対策を紹介しています。外付けの装置・媒体はバックアップ時だけ接続することや、安全な場所で保管することも対策例に挙げられています。
以下は、この考え方を日常業務に取り入れるための当メディアの整理例です。実際の操作は、利用する製品やサービスの公式手順に従ってください。
1.止まると困る仕事から、対象を決める
まず「明日使えないと困るデータ」を三つ書き出してみましょう。例えば、進行中の案件表、納品前の成果物、請求業務に使う資料です。それぞれについて、保存場所と管理する担当者を記録します。
続いて、何日前の状態まで戻れれば仕事を再開できるか考えます。毎日更新する案件表と、月に一度見直すひな形では、必要な頻度が異なります。業務の更新量に合わせて、取得頻度と確認のタイミングを決めましょう。
2.保存先と、戻せる期間を確認する
「クラウドにあるから大丈夫」と判断する前に、利用中のサービスで削除や上書きからどう戻すかを確認します。履歴の保存期間、復元できる範囲、操作に必要な権限はサービスや契約により異なります。公式ヘルプを見て、実際の設定と照らし合わせてください。
外付け媒体を使う場合は、取得後の取り外しと保管場所も運用に含めます。バックアップ側まで同じ事故の影響を受けない構成になっているか、管理担当者や保守会社と確認しましょう。
3.本番を上書きせず、サンプルで試す
復元の練習では、業務中のファイルを削除したり、既存データを上書きしたりしない方法を選びます。可能なら、事前に作った機密情報を含まないテスト用ファイルをバックアップし、別の確認用フォルダへ戻します。
確認するのは、ファイルが存在することだけではありません。開けるか、想定した時点の内容か、必要な担当者が手順どおりに操作できるかを見ます。別の場所に戻せない製品など、影響が判断できない場合は、実行前に提供元へ方法を確認してください。
4.結果と、次の確認日を残す
確認記録は長い報告書でなくても構いません。次の項目を一行ずつ残すだけでも、担当者の交代時に役立ちます。
- 対象の業務とデータ
- バックアップ先・取得日時
- 復元を試した日時と担当者
- 開けたか、内容は想定どおりか
- 困った点と、次回の確認日
保存済みの表示を見て安心する前に、まず一つのテスト用ファイルで戻し方を確かめてみましょう。実際に試した記録が、いざというときの手順書になります。
参考資料・確認日
IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版(PDF)のバックアップ対策例を参照しています。
情報確認日:2026年9月23日。特定製品の使用体験や導入効果を示す記事ではありません。